日本には古来より春の豊作祈願と、秋の感謝祭がありました。
その歴史は古く、卑弥呼様のような巫女様が活躍する弥生時代にまで遡ります。
日本で古来より行われているお祭りには、季節ごとにそれぞれ重要な意味があります。しかし、長い年月の間に、色々な文化と合わさり簡略化されてきて、本来の意味や由来を忘れられてしまっているものも沢山あります。
この記事では、秋に行われる日本古来のお祭りについての紹介をしていきます。
お祭りには意味がある。季節ごとの目的とは?
実は、お祭りは年中行われているのはご存知でしょうか?
季節ごとに目的が異なり、それぞれの季節ごとに
春 豊作祈願
夏 疫病退散、厄除け、台風除け
秋 感謝祭
冬 新春祝い、町おこし
といった祈りが込められていることが多いみたいです。この章では、それぞれの祭りの方式を簡単に説明していきます。
春のお祭り
春は花が咲き始める時期であるとともに、夏に向けて作物を植え始める時期でもあります。
神社などで土地の神様に、作物が良く実るように祈願をするのですが、巫女様や神主様が儀式を執り行うことが、次第にお祭りへと発展していったようです。
水田を主体に行う地域では、お酒などによる「お清め」などが多く、畑作が主体の地域では、草木を燃やし土壌の健康を祈ることが多いようです。
小規模な場合には、歌や踊りで神様を御もてなしする、というものもあるようですね。
夏のお祭り
夏の季節のお祭りといえば「花火大会」と、神社などの「縁日」です。
花火には鎮魂の意味があると言われています。
夏には疫病、台風、虫害などで、医療技術が発達していなかった昔の日本では亡くなる方が多くいました。
死体を放置してしまうと虫が湧いたり、ネズミが増えてしまい、さらに病気が蔓延してしまいます。
そのため、火葬を行い、死者を荼毘(だび)に付すのですが、人数が多いためにまとめて行ったようです。
欧州の祝砲を上げる文化が鉄砲の伝来とともに伝わり、花火となったのではないかと言われています。
ちなみに、日本においての花火の初使用は、いつ、どこで、どんな機会に行われたのか定かではないようです。
神社で行われる縁日は、春と同じく神様を祀り上げる儀式です。
目的はやはり疫病、台風、虫害などで被害が出ないよう「無病息災」を祈るものです。
お祈りというと、静まり返った境内でお賽銭をして手を合わせ祈るイメージがありますが、お祭りで明るく楽しく盛り上がることで邪を払いのけるという考え方もあります。
夏の暑い時期には、日陰で暑さに耐え忍ぶように生活することが多くなるので、日が傾いてやや涼しくなってから、集まって盛り上がったようです。
秋のお祭り
お参りやお祭りなどで神様にお祈りするときは、本来は「お願い」だけではなく「報告」をしていました。
秋のお祭りは、春に豊作を祈願したことについての報告という意味があります。
そのため、巫女様や神主様が再び儀式を執り行い、神様にお礼を伝える「感謝祭」をするのです。
最近ではキャラクター性の強いハロウィーンがとても有名ですが、日本の農作物を食べているという方は神社にお参りに行くのも良いかもしれませんね。
冬のお祭り
冬に代表的なのは、新年を祝う初詣ですね。「年越し祭り」と呼ばれることもあります。
年越しのお祭りは、四季のある日本だけではなく様々な国で色々な形式で行われています。新年を迎えることを祝うものが多いみたいですね。
日本の場合には、新年を祝うとともに、昨年1年間の報告や、今年1年の願いを神様にお祈りするものになっていますね。
他には、雪が降る地域などで町おこし目的で行われている「雪祭り」があります。
こちらは、1950年に札幌観光協会と札幌市の主催により開催されたのが始まりのようで、神様や仏様へのお祈りなどは一切関係がないもののようです。
秋のお祭りは日本で古くから行われている
本来の秋のお祭りは春のお祭りとセットになっているもので、春に神様に豊作をお祈りしたことに対する、報告と感謝を表すものです。
お祭りの儀式は、神様にご降臨していただくためのもので、酒などの供物や、踊りなどのお持て成しは全て、神様のご降臨と感謝を示したものなのです。
お本来の日本独自のコックリ様も、お狐様の黄金色の毛並みを、たわわに実った稲を連想することから、豊作の神として太陽神や水神様とともにお祭りされたりしていました。
いつしか仏教とともにダーキニーという神様が伝わったのですが、こちらは白い狐を下部としていて、狐繋がりでコックリ様として同様に祀られてはいるものの、願いを叶える代わりに、裏切りには死をもって償わせるというような、大変気性の荒い神様のようです。
村祭りで古くからお狐様をお祭りしていたりとか、日本古来のものは、前者の太陽神由来のお狐様をお祀りしているものです。
このように、古くからのお祭りは色々な文化と合わさって、意味や形式が大きく変わってしまったものが実は多くあります。
お盆の祭りには日本の秋祭りの意味もある
例えば、お盆は本来、インドから伝わった習慣です。お盆には地獄の釜の蓋が開き、祖先の霊が現世にやってくるということで、祖先の霊をもてなすお祭りを開きます。その期間に、多くの人に施しを行い、良い行いを積むと、祖先の霊が極楽浄土に行くことができるとも言われていて、盛大なお祭りを開き、多くの人をもてなすのです。
インドのお盆では、祖先の霊の喜びを表現する賑やかな踊りが行われるのですが、日本で行われる盆踊りは、着るものも踊りの感じも大きく異なります。
これは、日本古来の秋の感謝祭が、時代の流れとともにお盆と合わさってしまったためです。
本来神様にご降臨して頂くための神聖な踊りが、盆踊りとして変化したため、本場の踊りと大きく雰囲気が異なるのです。
まとめ
秋のお祭りでは、食べ物に困らなかった感謝を、水神様や太陽の神様にお祈りするのも良いですね。