通夜や葬儀は仏滅や友引を避けた方がよいと言われています。
お彼岸のときには遠く離れた実家まで帰ったり、夫婦両方の実家へお墓参りに行く家族も珍しくありません。
お彼岸の日程の限られた中で2つのお墓参りをする。これだけでも大変なことですが、お墓参りに仏滅や友引は避けた方がよいのか?
この記事では、お墓参りやお彼岸についての紹介していきます。
1章:お彼岸の墓参りに仏滅は良くない?
2章:お彼岸に墓参りをする由来
3章:お彼岸に墓参りするのはなぜ?
お彼岸のお墓参りに仏滅は良くない?
一般的に仏滅や友引には、お通夜やお葬式は縁起がよくないと言われています。
実はこの考え方は中国の「六曜(ろくよう)」からのもので、仏教の物事とは関係がありません。
ということは、お彼岸のお墓参りが仏滅だろうと友引だろうと、全く問題はありません。
こちらはWikipediaの「六曜」の記事へのリンクです。よければ参考にしてくださいませ。
『参考リンク』https://ja.wikipedia.org/wiki/六曜
六曜は運の良い日や悪い日が、螺旋のように繰り返しやってくる様を表した、一種の占いのようなものです。字や読み方も複数あり、現代の文字から連想される意味と、本来の意味には多少の違いがあります。
仏滅についても、もともとは「物滅」とされていたものが、近年になって「沸(仏)」の字が当てられたもののようです。
インドの仏教で行われる瞑想のように、祖先の霊にお祈りをすることに、運の良い悪いは関係ありませんよね。同じように、仏教の考え方からお墓参りをするのならば、特に気にすることはありません。
強いて言えば、仏滅は運勢でいえば大凶のようなものなので、道中の事故などには気をつけるようにしましょう。
お彼岸にお墓参りをする由来
お彼岸にお墓参りをするけれど、そもそもお彼岸とはどのような行事なのかをご存知でしょうか?
お彼岸は簡単に言えば「仏教修行の強化週間」です(笑)
春分と秋分には、太陽が真東から昇り真西に沈みます。浄土思想では極楽浄土は夕日で茜色に染まる西方ほ遥か彼方にあると考えられているため、真西へと太陽が沈んでいく春分と秋分を、極楽浄土が最も現世に近い日であるとし、仏様の世界を表す「彼岸(ひがん)」と呼ぶようになりました。ちなみに、私たちの住む世界のことは「此岸(しがん)」と呼びます。
このことから、仏様の世界である彼岸に到達しやすい日と考えられて、お彼岸の日には仏教の悟りを開くための修行の効果が特別高いと信じられて、普段は仏教の修行をしていない人でも、仏教の修行をするようになりました。
仏教の修行について
お彼岸に行われる修行は一般的に6種類あります。この6種類の修行を「六波羅蜜(ろくはらみつ)」または「六度彼岸(ろくどひがん)」と呼びます。
1.布施波羅蜜 人々へ施しをすること
2.持戒波羅蜜 戒律を守ること
3.忍辱波羅蜜 不平不満などを言わず耐え忍ぶこと
4.精進波羅蜜 努力を怠らないこと
5.禅定波羅蜜 集中し、散乱する心を安定させること
6.智慧波羅蜜 煩悩を断ち切り、真実を悟る智慧を得ること
お彼岸の日程について
お彼岸は春と秋の2回あります。春は「春分の日」を、秋は「秋分の日」を中日として、前後3日間を入れて合計7日間が「お彼岸」の期間です。
春分の日と秋分の日は毎年変わるため、1年前の2月にある閣議を迎えるまで、詳しい日程は定まりません。おおよそですが、春分の日が3月20~21日、秋分の日が9月22~23日になります。
お彼岸にお墓参りするのはなぜ?
お彼岸が「修行期間」、仏滅や友引は中国の「運勢占い」ということがわかりました。
ここで私から、ちょっとした質問です。
「お墓参りとは何のためにするのでしょうか?」
意外と答えにくい質問ではないでしょうか?
よく出てきそうな答えは「祖先の祟りがあるから」とか、仏教の修行の話から「祖先への感謝を忘れないため」とかですね。
物分かりの良い子供ならば、この理由で納得してしまうのかもしれませんが、残念ながら私は納得いきませんでした。
私の言い分はこんな感じです。
「祟りがあるならお墓建てない方が良いのではないか?」
「祖先への感謝は家系図で十分ではないか?」
我ながら捻くれた子供だったと思います(苦笑)
少し話が逸れますが、インド人が仏像の前で瞑想するイメージはありますが、墓前でお祈りするイメージはありませんよね。実は、インドでは基本的に火葬やガンジス川へ流して供養するため、お墓がありません。
子供時代の私の考えは、インド人のスタイルだったみたいです。
本来の仏教を参考にするのならば、火葬をして、遺骨を川や海へと流すのが良いでしょう。では、なぜお墓を作ってお墓参りをするのでしょうか?
答えは日本古来の神道にあります。
神道では死者は家の守り神になります。しかし、仏教が広まるうちに中国の埋葬の風習も合わさってお寺に墓地ができると、家ではなくてお墓に埋葬するようになりました。
このため、祖先の霊に自分を生んでくれた感謝を捧げ祈っていたものが、お墓参りへと変わっていきました。
「感謝は人のためならず」という言葉もあるように、感謝をすることで自分の心が楽になったりして、身の回りに良い変化をもたらします。
祖先の霊の祟りなどはありません。災いがあるとすれば、日頃から感謝することが少なかったり、お墓参りに行けないことに引け目を感じて、自ら心を苦しめているコトが原因です。
お彼岸やお盆にお墓参りに行けなくても気にすることはありません。祖先の霊への感謝の祈りを忘れなければ十分です。お墓のある方は、都合の良い時に綺麗にしに行けば良いのです。
こちらはお盆について記事ですが、よければご覧下さいませ。
『過去記事』実は日本のお盆の起源は仏教ではなく神道にあった?
まとめ
お墓参りと仏滅は全く関係ありません。
お彼岸は仏教修行の強化週間みたいなものです。
お墓参りは、仏教の祖先への感謝と日本古来の風習が合わさったものです。仏教由来のお彼岸では特にお墓参りをする必要はありませんが、お墓を綺麗に保ったりして、祖先への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。