「お彼岸には大きな買い物などをしてはいけない」という話を聞いたことはありませんか?
私の故郷は関東の中でも田舎の方でして、こういう言い伝えは意味がわからなくても絶対守るべきという風潮がありました。
皆は同じことを繰り返す日々の中で、いつしかこういった疑問自体を忘れていくのでしょうが、PC関係の学校に進んだ私は違ったようで、有り難いことに疑問をすぐに調べる癖がつきました。
今回も気になったのでお彼岸について調べてみました。すると、大きな買い物については、他の行事との誤解があるということがわかりました。
今回はお彼岸の高価な買い物について紹介していくとともに、お彼岸にやっていいこととやってはいけないことについて少し紹介していこうと思います。
1章:お彼岸に墓参りをする由来
2章:お彼岸に車の納車や引越しをしてはいけない?
3章:お彼岸に神道の行事をやってはいけない?
お彼岸に墓参りをする由来
本来、お彼岸というものはお墓参りの行事ではありません。
仏教のお彼岸は、私たちがこの世である「此岸(しがん)」から仏様の世界である「彼岸(ひがん)」へと到達しやすいと考えられている、仏教の修行期間です。
太陽が真西へと沈んでいく春分と秋分をお彼岸の中日として、その前後3日間の計7日間を「お彼岸」と呼び、前後の6日間にはそれぞれ修行を行います。普段は仏教の修行をしなくても、この期間だけは仏教修行を行うという方も多いようです。
6日間に渡り行う修行のことを「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と呼びます。
1.布施波羅蜜 人々へ施しをすること
2.持戒波羅蜜 戒律を守ること
3.忍辱波羅蜜 不平不満などを言わず耐え忍ぶこと
4.精進波羅蜜 努力を怠らないこと
5.禅定波羅蜜 集中し、散乱する心を安定させること
6.智慧波羅蜜 煩悩を断ち切り、真実を悟る智慧を得ること
簡単に言い換えるとこんな感じです。
2日目 規律を守る
3日目 怒りを捨てる
中日 彼岸には夕日の沈む方角にお祈り
4日目 努力する
5日目 心を安定させる
6日目 知恵をあらわす
前半では昔から良いと言われていることをやっていき、後半ではそれらを踏まえた上で、
努力したり落ち着いて過ごす。そして最終日には真実を悟るワケです。
仕事などでも先人の知恵を引き継いで、さらに努力したり落ち着いて判断したりして、最後に報告書や検証を行いますよね。
仏教の修行は私たちが普段無意識に行う学習法を、一つ一つ手順を追って、再確認するものでもあるのです。どんな難題だって基本的にやることは同じですから、問題に落ち着いて向き合えるように修行していたのでしょう。
お彼岸についてはこちらの記事でも紹介しています。よければご覧下さいませ。
『過去記事』お彼岸の結婚式は縁起が良くないは嘘だった!?
そして、お彼岸とお盆の違いについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
『過去記事』お盆と彼岸の違いについて、墓参りの意味も大違い?!
これらの過去記事でも紹介していますが、お墓参りは仏教のお彼岸には無いものです。お墓参りをする由来は、もともと日本にある神道にあります。
日本ではもともと家の敷地内にお墓を作り死者を埋葬していました。これは、祖先の霊は家の守護霊となり、一族を守ってくれると信じられていたためです。
この守護霊の信仰があったため、仏教の「死者は仏様になる」という教えが受け入れられ、さらに仏教の極楽浄土に救いを求めたことから、多くの方が仏教も信仰するようになっていきました。
次第にお葬式をお寺でする人が増え、お墓をお寺や集合墓地に立てる人が増えていき、お墓参りというものが変わっていき、現在のような形になったのです。
お彼岸に車の納車や引越しをしてはいけない?
お墓参りについても、日本や中国にもともとある土葬の文化と、祖先への感謝の気持ちを表す風習が合わさったもので、さらに仏教の仏様の概念が合わさっているように、色々な国の文化や風習が混ざり合っています。
台湾ではお盆の期間が旧暦の7月の1ヶ月間なのですが、この期間には、海に行くのを控えたり、引越しや車などの購入や契約はしてはいけないようです。
これは私の予想になりますが、日本は色々な国からの文化や風習を受け入れることがあるため、この台湾のお盆の風習が受け入れられた際に、祖先の霊が関係するお盆とお彼岸を混同して伝えられたのではないかと思います。
ちなみに、地域によっては車や引越しだけではなく、結婚式や出産まで良くないとされていますが、基本的に全て問題ありません。
今回リサーチしたところ、お彼岸に引越しや車の納車といった「高い買い物が良くない」という話はありませんでした。
お彼岸は仏教の修行期間なので、これらの高価な買い物は全く問題ないでしょう。ただし、煩悩の塊のような欲望まみれの契約関係は止めておいた方がよいでしょう(笑)
お金は計画的に使うようにしましょう。
お彼岸に神道の行事をやってはいけない?
基本的にお彼岸にやってはいけないことはありません。しかし、神道を信仰している場合には注意したいことがあります。
仏教では、死は仏様となって極楽浄土へと行くための通過儀礼です。
神道では、死は穢れであり、避けたり浄化すべきものである考えられています。
このことから、仏教のお葬式などの行事と、神道のお参りやお祀りなどの行事は同時に行わない方がよいと言われています。
一つ例を挙げておくと、赤ちゃんのお宮参りです。
お宮参り(初宮参り)というのは、赤ちゃんが無事に生誕1ヶ月目を迎えたことを産土神様へ感謝し報告する行事です。
こういった神様へのお参りをしたついでに、お墓参りに行くことはよくありません。仏様や先祖の霊は問題ありませんが、土地神様に祟られてしまう原因となります。
行事の日にちを分ければ問題ないため、お墓参りは別の日に行くようにしましょう。
まとめ
お彼岸にやってはいけないことは特にありません。お彼岸は仏教修行に最適な期間のため、散財などせずに真面目に過ごすようにしましょう。
ただし、神道の行事には死に関わるものを持ち込んではいけないため、神社のお参りついでにお墓参りにも行くのはよくありません。神社に行った日はお墓参りを控えるようにしましょう。